2012年8月31日

新しいiPhoneにおさいふケータイ機能はつくのか

先日、新しいiPhoneにはNFCチップはのっているという記事がリークされた。各種まとめ系サイトでも取り上げられ、TwitterでもNFCがトレンドにのってくるなど、9月発表という噂も重なって新しいiPhoneへの期待が過熱している。私も、おさいふケータイ機能がついている携帯電話を捨ててiPhone 3Gへ乗り換えてから、iPhoneへおさいふケータイ機能がつくことを熱望していた。SoftBankのアンケートにはおさいふケータイ機能が欲しいと熱心に答えてきたし、NFC関係の動向もチェックしてきた。iPhone 4が出たときはこれと言ってめぼしいNFC系のニュースがなかったから、発売前から期待しつつも諦めていたものだ。しかし、今回はiPhone 4のときとは少し事情が違う。NFCのチップもそろってきたし、何より、FelicaをiPhoneに搭載するための技術的目途が立ったのだ。


NFCに関する技術的な概要を下記の図にしてみた。いわゆるNFCというのは、通信の標準規格のことで、Felicaや日本ではタスポに利用されているISO/IEC14443 Type A、住民基本台帳、運転免許証、パスポートに利用されているISO/IEC14443 Type Bの下位互換性を維持している。つまり、「NFCチップ」といった場合、Felicaと全く別のものではなく、Felicaの通信部分の機能は含まれている。


しかし、Felicaのサービスを利用する場合、通信する部分に加えてさらにセキュアエレメント(図中Felica SE)と言われるOSや暗号化などをする部分が必要である。これは、現在おさいふケータイ機能をもつ携帯電話は別途、セキュアエレメントのチップを実装するなどの方法をとって実現している。ここで、iPhoneにおさいふケータイ機能を実現するにあたって技術的な2つの問題が生じる。

  1. セキュアエレメント機能を実装すること
  2. NFCチップとセキュアエレメントをつなぐインタフェース部分を実装すること

である。1に関して、Appleは日本だけのためにわざわざチップをのせるなんて絶対にあり得ない。これは当然のことだ。これはAppleだけの問題ではなく、世界的に共通の携帯電話端末を作っている企業すべてに言えることで、この問題を解決すべく2011年にdocomoがロードマップを示していた。Appleは以前、NFCは標準がそろっていないから搭載しないということを表明していた(ニュースは見つけられず)が、GSMAにおいてSWPというインタフェース用のプロトコルが標準化され、1つのNFCチップで様々なセキュアエレメントに対応できるようになった。しかし、Felica規格は独自のインタフェースを採用しており、2に関する問題をどうするのか不透明だった。

そこへ今年3月、docomo、au、SoftBankにSIMカードを提供しているというジェムアルト社が、Sonyと技術提携をして自社のSIMカードにFelica SE機能を搭載するというプレスリリースを発表した(リンク先PDF注意)。日本語の記事はこの記事がわかりやすいかもしれない。これは、どうやらジェムアルト社のUpTeq NFC SIMというプラットフォーム上にソフトウェアとしてFelica OSと暗号部を実装するという方法を取るようだ。そして、そのプラットフォームがSWPを用いてNFCチップと通信するらしいのだ。これで、技術的な問題が解決する。

SIM上にFelicaを実装した場合、キャリア、Apple、フェリカネットワークス間でどうライセンスを契約するかなどのビジネス的な課題はあるが、新しいiPhoneにはいよいよおさいふケータイ機能が搭載されるのではないかと期待せざるを得ない。

ちなみに、iPhoneにおさいふケータイ機能が搭載された後の世界の妄想はこちらの記事

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